2007.06.21更新
「思い通り」の向こう側に。
報告#20 : 北海道  吉田“ダシヨ”公樹

イトウの川に、雨が降りはじめた。
空が厚い雲に覆われ、あたりは暗くなり、
森が鬱蒼とした雰囲気を帯びはじめる。
さっきまでやかましく騒いでいたハルゼミは声をひそめ、
葉を打つ雨の音に、時おり鳥たちの鳴き声が響き渡る。

今シーズン、はじめてのイトウ釣り。

5年前、静岡から北海道にやってきて、
トップウォーターバシングのスタイルをそのままイトウにぶつけてみた。

突如として目の前でおこった水面の爆発。
まさに衝撃。圧倒された。
夢中になって通いつめ、今年で6シーズン目になる。

テンポよくポイントを打ちながら釣り上がる。
サイドハンド、バックハンドキャスト、ピッチング・・・・・・
僕らの立つ岸には大小さまざまの草木が茂り、頭上には木々の枝が被さる。
おまけに足元は、湿原河川ならではの泥質。
ロッドを思い通りに振ることもままならず、
周囲の状況や自分の体勢にあわせてキャスティングを駆使しなければいけない。

着水したペンシルは、すぐに下流へと流される。
少しロッドを立てて、リズミカルにラインをはじく。
ときに強く、ときに弱々しく。
ときに流れに抵抗しながら、ときに流れに身をゆだねながら・・・・・・
ゆったりとした川の流れではあるけど、
思い通りのコースを流しながら思い通りのアクションをさせるために、
ラインさばきにはひときわ気を使う。

こんなイトウの川だから、ルアーに求められる性能はシビアだ。
キャスタビリティの悪いものは使いにくい。
動き出しに難があったり、アクションにパワーがないものもアウト。
できれば演技の幅も欲しい。
時にイトウは、ロングチェイスしながらルアーを見定めようとするから。

水面を叩く雨粒に、プラグの存在がかき消されるような気がして、
ペンシルからWスイッシャー、CODEのハイドロターキーに結びかえる。





しばらく行くと、向かいの岸際に、水中に突き刺さる大きな倒木の姿をとらえた。
流れがあたって川底が削られ、ちょうどその木のあたりから、
幅2メートル、縦7メートルほどの深みになっているのが水の色から分かる。
手前側のラインを流してみるものの、イトウの反応はない。

「ここもダメか・・・」と思いつつも、倒木の二股に分かれた幹と太い枝の間が気になった。
魚が釣れるかどうかとはまた別に、こんなすき間を見たらチャレンジしないわけには行かない。

よし!
着水音を抑えたナイスキャストが決まる。
 
ジュワッ、ジュワッ、ジュワッ
プラグがスムーズにアクションをはじめた。
あまいスイッシュ音を奏でながら4回ほど180°ターンさせたところで、
ルアーの後ろで渦が巻き、身を翻す魚体がギラリと光った。
そのまま動かし続けるも水面は割れず。

「いたな!」ひさしぶりの反応に、後ろで見守っていた仲間と顔を見合わせる。
60cmはあっただろう。
トップまで出きらなかった。
もう一度チャンスはあるか・・・・・・

魚に警戒心を与えないために、今度は倒木の向こうにキャストした。
幹にフックが刺さりそうになるのを首振りでぎりぎりかわし、
ルアーを流れに乗せながら反応があったスポットまで自然にアプローチ。
「出ろ!出ろ!」という思いをイトウに伝えるように、強くロッドをはたいた。

喰った!
水面で反転し抑え込むようにプラグを襲った。
しかしフックアップしない。

まだいける。
迷いはない。
回収し、間髪いれずにキャスト。
倒木から少し右にそれる。
流れにラインをとられてルアーが引っ張られる。
うまくパフォーマンスできないまま流されるプラグ。
すぐに形勢を立てなおし、あきらめずにアクションし続ける。
ジュワッ、ジュワッ、ジュワッ・・・・・・

「ドカッ!」

水中から何かが飛び出す。
プラグが空中に持ち上がる。
頭が真っ白になる。

水しぶきをあげながら激しく頭を振る魚体が目に入った。
我に返る。
「のってる!」「でかい!」

予想よりずっと大きい。
グワシャグワシャ!強烈な首振り。必死にリールを巻いてテンションを保つ。
ググン!今度は川底に突っ込むようなダッシュ。ロッドが絞り込まれて満月になる。
ラインに負荷をかけすぎないよう、イトウを追いかけて川に入って対応する。
接近戦だ。

ぜったいにバラシたくない。
この魚だけでいい、この魚だけは釣り上げる。
強い気持ちがあふれ出てきた。
なにか叫んだような気もする。

少し下流の岸際に、ランディング場所があることを仲間が教えてくれた。
首振り、突っ込みの繰り返しをなんとかかわし、2人で浅瀬に閉じ込めるようにして囲い込んだ。





77cm。その長さより、魚体に驚いた。
これまで釣ったイトウのなかでもっとも太いイトウだ。
野性味あふれる面構えにしばし見とれる。
そうだ、この魚が釣りたかったんだ。





今回、はじめてCODEハイドロターキーを使った。
とにかく基本性能が高い。
ロッドワークに機敏に反応し、しっかりと首を振る。
首を振りながら、ボスつきペラがちゃんと回転する。
水をかき回し、甘い音色を奏で、フラッシングする。
このシンプルな、それでいて奥の深い性能がイトウの川で活きた。

力強いターンは、ポイントごと変化する複雑な流れにもへこたれない。
ロッドをはたく角度と強さ、そしてラインスラックの取りかた次第で、
首振りとスイッシュの具合を組みあわせ、イトウにさまざまな誘いを仕掛けることができる。
飛行姿勢も良く、着水音はとても軽やか。
スマートなボディシェイプもアドヴァンテージだ。

思い描いたとおりの釣りがしたい。
そのイメージをハイドロターキーは実現してくれた。
そしてその「思い通り」の向こう側には、我を忘れるほどの心の震えがあった。





ターキーについたイトウの噛み跡。ぐにゃりと曲がったフロントフック。
いつメーターオーバーがきてもいいように、リグをカップリグに変更することにした。
フックの自由度を上げて、かかる力を分散させるためだ。
もとのリグのバーを上下逆にセットし直しても、同様の効果が得られるとのこと。








(タックルデータ)

ROD アーティスト60MH
REEL SHIMANO AXIS101version2
LINE SURFACE GAME 20lb

Text & Photo:Dashiyo-Yoshida